
が大切になってくると思います。 首位都市の形成に関し、その過程において’ステッピング・マイグレーション(段階的移動)”と専門家が呼ぶ現象が生じることがあります。 すなわち、最初からカトマンズを始めとする大きな都市に人々が集中するのではなくて、まず、中小規模の町に移動して、その後大都市へ移動する現象、これを“ステッピング・マイグレーション(段階的移動)’’と専門的には呼ぶわけです。段階的ということですから、都市化の過程がいくつかの段階に分かれます。まず最初の段階。山岳、丘陵地域から低地(タライ地域)への流入によって、小さな町がたくさんできてきます。これが集まって中規模の町になる。そして次にもっと大きな都市になる。そして、そこを経由して最終的に、カトマンズに人口が流入しカトマンズが最大の都市=首位都市になるということです。 ネパールの場合、このカトマンズに人口がこのような形で集中するかどうか、また、このような段階を踏むかどうかが問題となるわけですが、今のところ、分散的なパターンです。 ただ、この分散的なパターンが今後も続き、今後10年、15年経ったときにまだ、分散的なパターンをとっているのか。それともカトマンズに人口が集中し、それに伴って、工業もカトマンズに集中し、カトマンズがバンコクのような大都市なってしまうのかどうかに強い関心を持っています。 ネパールの政策立案者にとって重要な点は、これをどのようにコントロールしていくかということでしょう。カトマンズの環境問題は、すでに深刻なものとなっています。工業・人口がさらに増大しますと、環境に関わる問題はさらに深刻化することでしょう。 しかし現状を見ると、人々はカトマンズではなく山岳・丘陵地帯から数多く生まれつつある平地の中小都市へ流れています。この現況を踏まえますと、ネパール政府の政策に関わる問題としては、この都市化の分散的なパターンを維持するべきかどうかということになってくるわけです。実際の選択肢としては、ネパール政府が今のままの状態を維持する策をとるのか、それとも、カトマンズヘの集中これを促進する政策をとるか、ということです。私の考えは、今のままの分散的な都市化でで良いのではないかということです。 最後に、もう1点だけ申し上げたいと思います。日本には都市化の問題に関して経験が豊富あります。特に、大阪、東京、名古屋などへの人口と産業の劇的な集中を日本は経験しました。当時、政府は、賢明にその状況を認識し、そしてこの人の移動、集中、これを食い止めるという策をとったわけです。 1961年、1962年の時点ですでに、素晴らしい政策を策定し、政府は大都市部と農村
前ページ 目次へ 次ページ
|

|